補足
BNPで心不全をすべて語れるわけではありませんが、「心不全」と診断できるかの
大事な診断ツールではあります。
たこつぼ心筋症は、「Tacotsubo cardiomyopathy」という正式な医学的病名があります。
可逆的で予後はいいのですが、まれにショックや致死的になることもありえる疾患です。
女性に多いですが、高齢者に特有というわけではありません。
心筋梗塞後、心不全の治療としては、
1.安静にして体内のカテコラミン放出をおさえる
2.内服(β阻害薬、ACE阻害薬)等の薬剤で「心筋を休ませる=補強する」です。
15年前までは、ドブタミンやジキタリスなどの強心剤を使う治療が主流でβブロッカーは禁忌、の時代でした。
ちょうど私が研修医になった14年前にアーチストが心不全治療薬として日本で認可され、
それまでの方向と大きく流れが変わりました。
以来、弱った心臓はたたいて動かすのではなく、休ませて回復させる方向に進んでいます。
冠動脈疾患については、
PCI(カテーテル治療)は、急性閉塞(AMIや不安定狭心症)には有効ですが、
安定狭心症(中等度狭窄)に対するPCIは、狭心症状の改善はあるかもしれまえせんが、予後を改善はしません。
むしろ、リハビリや適切な内服治療(ACE阻害薬やβブロッカー、抗血小板薬、スタチン)がイベントリスクを低下させることがわかっています。
谷地